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不動産売却の際に販売を依頼する不動産会社と結ぶ「媒介契約」
今回はその媒介契約の種類の内「一般媒介契約」をおすすめしない理由を書きます。
※売却予定の物件、地域制、状況によって異なりますので、あくまでも一般的な考えとしてお受け取りくださいね。
一般の方は、複数社と契約して競い合わせた方が良い条件で売れるんじゃないかと思いがちです。また、集客の間口が広がってプラスだと思い込んでいらっしゃる方も。よほどの超人気エリアのレア物件であれば、それもアリです。
しかし、私は「一般媒介契約」をおすすめしませんし、これはどこの不動産会社も同じだと思います。
「一般媒介契約」をおすすめしない理由
複数社との調整や伝達の煩雑さがハンパない
一般媒介契約は専任媒介契約と違い、不動産会社の縛りが緩いんです。販売活動の報告義務が無かったり、レインズ(指定流通機構)への登録義務が無かったりと。
例えばあなたが複数社の不動産会社と媒介契約を締結したとします。現在、どういった媒体に広告を出して月の反響がどれだけあるのか、その中からどれだけ内覧があったのか、そういったことを把握するには、複数社の担当者それぞれ確認しないといけません。確認した後、全体の状況を把握するため集計するのもあなた自身の仕事です。
また、通達したいことがあった時も複数社に連絡をしなければいけません。前述したように超レア人気物件で1週間で売れるような案件であれば良いんですが、売れるまでに数ヶ月掛かるような場合、この各不動産会社とのやり取りは相当煩雑でめんどくさいですよぅ・・・。
販売活動の正確な状況を把握しづらい
これが契約締結先が1社だけだとずいぶん作業が楽なうえ、正確な反響内容のデータを把握できます。
販売活動のデータは重要です。スムーズに売れれば良いのですが、そうじゃないときになぜ売れないのか分析するのに必要だからです。内覧が多いのに決まらないときは物件自体に何かしら問題がある可能性があり、そもそも内覧自体が無いときは価格が高い可能性があり、それぞれ改善の必要があります。
また、各社がSUUMOやアットホームなどのポータルサイトに物件広告を掲載したとします。不動産を購入された経験のある方なら同じ物件を何社も掲載している光景を1度は目にしたことがあるはずです。
あれってプラス要素になりますか?むしろマイナスだと思うんですよね。なんか安っぽいイメージになりませんか?
つまり、複数社に売却を依頼して何社も物件広告をすることって、集客の間口を拡大出来ているのは不動産会社であって、あなたの物件ではないんですよね。
トラブルが起きたとき責任の所在が明確でない
内覧のお客さんを案内してくれるのは、媒介契約先の不動産会社だけとは限りません。媒介契約をしていない不動産会社でも、その会社のお客さんに物件を紹介してくれますし、お客さんが物件に興味を持てば内覧につながります。
例えば、そんな客付けをしてくれる他の不動産会社さんんが内覧のお客さんを案内してくれたときにトラブルが起こったとしたら・・・
とある不動産会社の担当者が、内覧のお客さんを案内したとき、ご家族のお子さんが寝室で誤って転んで手に持っていたオレンジジュースをひっくり返してしまい、カーテンにビシャーッとぶっかけてしまいました。
リビングで話し込んでいる大人達は気づいた様子がなく、怒られるのが怖くなったお子さんは黙ったままです。不動産会社の担当者も気づくことなく玄関のカギを閉めてその日は帰っちゃいました。
実はこのカーテン、あなたがまだその家に住んでいた頃特注で購入された高級カーテン。とってもお気に入りだったけど引越し先の新居ではサイズが合わないため、内覧のときもイメージ良いだろうし、買えば数十万円するものだから、きっと気に入ってもらえるだろうと買主さんにプレゼントするつもりで残して置いたものです。
後日あなたが売却中の元住まいの近くをたまたま通ったので、様子を見に建物内に入ったらカーテンがビシャーッ状態でドヒャーッです。
慌てて不動産会社に連絡するも(この時も複数社連絡しなくてはなりません)、どこの不動産会社も知らないと一転張りです。もちろん実際どの会社も誤魔化すつもりもなく???って感じです。
そうなんです。こういったとき、どこの不動産会社に責任があるのか明確にしづらいんです。
本当は時系列にそって正確に辿っていけば、いつどのタイミングで発生したのか分りそうですが、関係者が多くいい加減な人や正直に言わない人が1人でもいたら解決するのは極めて困難です。今回のケースだと、最後に内覧したときが怪しいんですが、案内した不動産会社の担当者が「知らない」って言い張ったらもう迷宮入りです。
こういったとき、専任媒介契約であれば有無を言わずその会社に責任を取ってもらうべき案件です。
担当者のモチベーションが上がらない
思うように売れない日が続き、購入客が見つかるまで長引くこともあります。最初は張り切ってくれた各不動産会社の担当者も、気が付いたら連絡すらありません。たまに連絡してくれる担当者がいても「そろそろ価格を下げませんか?」といった内容。
そうなんです。
一般媒介契約を交わした直後は、各不動産会社は他社に客付けされたらそこで試合終了なんで、最初の1~2週間は必死です。物件の写真を撮ってポータルサイトに掲載、チラシを刷って配布、自社の既存客の方たちにメール送付等々。
しかし、その時点で反響が薄かったりするとモチベーションがすごい勢いで下がっていくんです。もちろんほとんどの会社の担当者は売るために尽力します。担当者もノルマがあるだろうし売りたいんです。
しかし、あなたが複数社と契約している状態である以上、なかなか売るための思い切った提案もしづらく、結果としてあなたの物件の販売活動における優先順位は下がってしまいます。優秀な営業マンになればなるほど、あなたの物件だけでなく他にも売らなくてはならない物件を複数抱えていますから。
会社としても自社の収益になるか分からない案件に広告費と労力を必要以上に掛けたくないのが本音です。
真面目な担当者であればあるほど、思うような結果が出せない状況だとあなたに連絡するのがつらくなって来ますし、もしかしたら他の不動産会社の担当者と仲良くやってて、自分はあんまりあてにされていないかも?なんて勝手な妄想を抱く人もいるかもしれません。
これってお互い得しませんよね?
これが専任媒介契約であれば、売主さんとガッチリ二人三脚で歩を進めることが出来るのですが、一般媒介契約だとなかなか・・・。
上手くいったときは「良かったね!」でいいんです。ことが上手く運べなかったときどう対処すべきか、動きやすいのは圧倒的に専任媒介契約なんです。
不動産会社は専任媒介契約で活動したい
誤解を恐れず正直に書きます。他社さんに客付けされたら報酬は1円も頂けませんし、それまで掛かった広告費用や労力が全て水の泡となるんで、モチベーションが上がらないんです。
売主さんから言わせれば「そんなの不動産会社の都合であり勝手なこと言うな」となるでしょう。ですよね!そうなんです、不動産会社の勝手な言い分です。
でも、それが正しいとか間違ってるとか、そういう倫理的・道徳的な面を仮に改善出来たとしても、もしくは国土交省が定める媒介契約書の約定的な改善があったとしても、複数社と競い合わせられても我々不動産会社はやりづらいだけだという事実は変わりません。
ですから、ほとんどの不動産会社は専任媒介契約を望みます。一般媒介契約で複数社と競い合わせられるのは面白くないし、信用して任せて頂いた方がやる気も俄然上がるからです。これって人として普通の感情だとは思いませんか?
あなたの代理として販売活動を行う相手が望む契約形態で、気持ちよくやらせてみてはいかがでしょうか。例えば裁判で複数の弁護士に依頼するとか絶対にあり得ないですよね。納得できる働きが出来なければ契約解消すればいいんです。
どうしても1社に絞り切れないときは、最初の1ヶ月間だけ一般媒介契約にして、複数の中から信用できそうな会社を選んで専任媒介契約するって手法もありかもですね。販売活動の報告義務はなくても、きちんと小まめに連絡をしてくる誠実な担当者は必ずいます。
まとめてみた
- 複数社との調整や伝達の煩雑さがハンパない。
- 販売活動の正確な状況を把握しづらい。
- トラブルが起きたとき責任の所在が明確でない。
- 担当者のモチベーションが上がらない。
- 不動産会社は専任媒介契約で活動したい。
※何度も書きますが、売却予定の物件、地域制、状況によって異なりますので、あくまでも一般的な考えとしてお受け取りくださいね。
今回はここまで。今日という日があなたにとって良い1日でありますように。